「SUMCOの強み〜最先端ロジック半導体向け、エピタキシャルウエハーで高いシェア」
※ウエハーのイメージ画像はSUMCO アニュアルレポート2022より
シリコンウエハーには様々な種類があります。代表的なものとしてポリッシュドウエハーとエピタキシャルウエハーがあります。
ポリッシュドウエハーはシリコンインゴットを厚さ1mm程度にスライスして、その表面を鏡面研磨した状態のウエハー。
エピタキシャルウエハーはポリッシュドウエハーの表面に気相成長させた単結晶シリコン層を作ることで、さらに優れた品質を実現したウエハーです。つまり、ひと手間加えた高品質ウエハーです。
ポリッシュドウエハーはメモリー半導体の基板となります。サムスンやSKハイニックス、マイクロン、キオクシアといったメモリーメーカーが使用するウエハーです。
一方、エピタキシャルウエハーはロジック半導体の基板として使われます。AppleやNVIDIAから製造を受託しているTSMCや、インテルが使用するウエハーです。
SUMCOの主力である直径300mmウエハー市場全体で、エピタキシャルウエハーの占める割合は25%くらいです。一方、SUMCOが製造するウエハーは50%くらいがエピタキシャルウエハーです。つまり、信越化学などの競合他社と比べてエピタキシャルウエハーの割合が高いです。
SUMCOはエピタキシャルウエハーでも高い技術を要求される最先端品に強いです。最新のiPhoneの半導体に使われている、TSMCの最先端3nmプロセスでも、SUMCOのエピタキシャルウエハーが使われているはずです。
SUMCOは「技術で世界一の会社」を経営ビジョンで掲げており、シリコンウエハーに関する保有特許件数は世界トップです。また、TSMCがサプライヤーを表彰する「Excellent Performance Award」を10年連続で受賞するなど、技術評価は高いです。
アニュアルレポートで、最先端ロジック分野でのシェアが50%以上あると公表しています。が、実際は70%くらいはありそうですね。
※SUMCOアニュアルレポート2022より
SUMCOが現在稼働に向けて準備をしている佐賀県伊万里市の新工場でも、最先端ロジック半導体向けエピタキシャルウエハーが製造されます。この工場の新設は顧客の強い増産要請に応えたもので、増産するウエハーの契約期間や価格はSUMCO側に有利な条件を勝ち取っています。
現状、シリコンサイクルの波の底で、顧客の半導体生産量が落ち、ウエハーの在庫が非常に多くなっています。シリコンウエハーは厳しい市況が続いています。
ただ、需要が急拡大しているNVIDIAのAI向け半導体にも最先端エピタキシャルウエハーが使われているはずで、この先数年の目線で見れば、SUMCOが強みを持つ先端ロジック半導体の分野は大きく伸びてゆくと考えます。
※SUMCOアニュアルレポート2022より
売上と利益を伸ばすには、ウエハーの販売枚数を伸ばすことも重要ですが、ウエハー1枚の販売単価を上げることも大切です。最先端エピタキシャルウエハーで高いシェアを持ち、強い価格交渉をすることで、しっかり利益の出る価格でウエハーを売れるはずです。
増産による販売数の増加と販売価格の上昇で、数年以内に売上高7,000億円、純利益2,000億円で、株価8,000円を期待しています。
アニュアルレポートでSUMCOの持つ技術などが分かりやすく説明されています。
【注意】この記事は証券投資の勧誘を目的としたものではありません。また情報の正確性および完全性を保証または約束するものでもありません。投資決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
2024/3/15
コメント